早朝の越後湯沢駅はひっそりとしていた。ひっそりというより火が消えたようで、広くて長いコンコースに人はひとりもいなかった。明かりを落しているものだから余計に寂しさがあった。新幹線が着くとパラパラと人が降りてくるものの、1分もすれば霧散してしま…
甲子と書いて「かし」と読む。甲子高原、甲子温泉──その名前を私は子供の頃から知っていた。なぜなら私が分断国道の存在を初めて知った場所であり、そのインパクトがあったからだ。 その地の名を初めて聞いたのはおそらく父からだったと思う。栃木県の那須の…
まだ朝が早いせいかもしれない。町が静まっている。風景が止まっている。人が歩いていない。車も走っていない。動きが何もないだけじゃなく、空気さえ流れを止めているようだ。音もない。 狭いわけじゃないけど、たいして広くもない駅前広場。そこへアイボリ…
鯖江の街道沿いのカフェチェーンが早くから店を開けていたのでそこでモーニングを食べていた。最近になってたまたま気づいた、私がまだ未踏だった県、その福井県にようやく足を踏み入れたというのに、実感が湧いてこない。日々開店時間から足を運び常連と化…